僕に、恋してみたら?
「えっ!?」
「だってお前、さっき言ってたろ。〝先輩の遊び相手になっちゃった〟とか。あいつが茉帆にいい加減な気持ちで手を出したなら、ブッコロ……」「怖い怖い柳くん! 落ち着いて!」
目がすわっている柳くんを、なだめる。
「あれはね……」
「あれは?」
「あのキスは、半分、わたしのせいなの」
「……は?」
「わたしが柳くんとキスして、それで動揺してて、そこに先輩が現れたものだからつい……『初めては先輩としたかった』なんて泣きついたからっ……」
「!」
「今思えば、先輩なりの優しさだったのかもしれない。軽いノリというよりは、恋愛感情はこめられていなくても、慰めようって気持ちをこめてくれていたのかもって……ちょっと思ってる」
でなきゃ、あんなに優しく……してくれないんじゃないかな?
自惚れでもいい。
そう、思いたい。
「…………」
柳くんが、顔を伏せた。
「柳くん?」
「……俺のせいか」
「え?」
「俺、おのずとあいつに塩を送ってやってたのか。……最悪だ」