僕に、恋してみたら?


「柳くん……」


リビングに戻ると、柳くんは上下グレーのスウェット姿だった。

柳くんと色違いの格好をしている自分を客観的にみてみると、面白くて、クスリと笑ってしまう。


「やっぱり……でかいな」
わたしのスウェット姿を見下ろしてつぶやく。

「柳くん、さすが男の子だね。細身だけど、肩幅が広いし。それに、足長っ!」


スタイル良すぎだよ柳くん。足の長さ5センチくらいわけてはくれないだろうか。


「親父の服を勝手に着てる幼女の図……みたいだな」

「誰が幼女だ」

「ははっ。髪、しっかり吹いとけよ。夏風邪とかやっかいだしな」

「うん……ありがとう」


柳くんは、シャッとカーテンをあけて窓の外をのぞく。


「こりゃ、しばらくやまねーな」

「傘、借りていいかな? あとで、返しにくるから」

「お前今日は予定ないって言ってなかった?」


それはそうだけど……。


「長居したら悪いよ」

「俺はかまわないよ」

「でも……」

「むしろ茉帆といれて、ラッキーだって思ってるし」


ソファに腰掛け、こっちを見上げてニヤリと笑う柳くん。

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