僕に、恋してみたら?


先輩と肩を並べて歩き始める。

好きな人との下校……が、こんなに戸惑ってしまうものだとは。


並んでよかったですか。

歩く速さ……このくらいでいいですか?

先輩は、わたしよりずっと足が長いから、一人のときはもっと早歩きだったりしませんか?

さりげなく、車道側、歩いてくれていますよね。

始めは、わたしがそっち側だったのに。


……と、いけない。

まず、いうことがあるでしょう。


「今日は、本当にありがとうございました!」

「完成してよかったね」


言ってしまおうか。

この流れで。


「あの!」

「ん?」

「……うちのクラスの劇、見に来てくれませんか?」


どうかな。

先輩は、来て……くれるだろうか。


「たしか――11時30分の公演だよね?」


どうしてそれを……?


「はい、そうです」


先輩が見てくれれば、もっと頑張れるんです。

少しでも変われたというところ、見て欲しいんです。


「もちろん。みんなの頑張ってるとこ、見に行くね」

「ありがとうございます……!」


最初でこそ、

「水上先輩だ!」「隣の子誰?」

なんてジロジロとみてくる同じ学校の子たちがいたけれど、学校から離れていくにつれ、そんなこともなくなった。


やがて、あたりにひとけがなくなり、しんとし始めた頃。

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