僕に、恋してみたら?
1年の教室は、3階にある。
わたしのクラスから屋上までは、ほどよく近い。だからわたしは屋上を利用していた。
屋上へと続く階段を一段上がるごとに、そわそわするのがわかった。
どうせ、いないのに。水上先輩は、待っていないのに。
お姉ちゃんから、約束の断りを入れられただろうから。
「……どういうつもり?」
――!?
「なにが」
「あたしへの腹いせで、あの子に近づいたの?」
内容までは、聞こえない。
ただ、どっちも聞き覚えのある声だった。
聞き間違えるわけない、声だった。
大好きな、お姉ちゃんの声。
それから……
会いたくて仕方ない、水上先輩の声だ。