僕に、恋してみたら?


「こっち見て。お願い」

「先輩……わたし、」

「うん」

「先輩のことが……、好きなんです」

「……うん」


言えた。

言ってしまった。


行き場のない想い。

どうしようもない、想いを、伝えてしまった。


こんなのは、自己満足だ。

先輩は今、困っているだろう。

だって、先輩がすきなのは、わたしじゃないから。


わたしの、お姉ちゃんだから……。


「ごめんなさい。本気になっちゃいけないのに」

「…………」


釘、刺されてたのに。


「もう、行きますね。失礼します」


「――行かないで」


壁に押さえつけられたと思ったら、次の瞬間――やわらかいものが、唇に触れた。



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