ガード
「山田さん。」

「え」

「今後のボディーガードの仕方について、今から少し話をできますか?」

視線であずさに助けを求めた。だが無駄のようだ。

「行ってこい行ってこい。今日のお前の動作はいろいろまずい。」

「行ってこい」が「逝ってこい」に聞こえたのは私だけだろうか。

しかし、反論できるはずもなく、しぶしぶ彼について行った。

***

歩きながら考える。

水浦翔には聞きたいことが山ほどあった。

なんでが沢山出てくる。

前を歩く彼がやっと止まったそこは彼のオフィスである。

それと同時に彼は鍵を開け、中に入った。

いや、同時に私も中に入ったのだ。

手を思い切りよくひかれた私は、予想外の出来事に慌ててふためき、これまた思い切りよくこけた。

はずだった。


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