ガード
***

約30分後、私たち3人は私立矢形中学高等学校の正門前にいたのである。

そもそも私はてっきり校舎内に入ってからボディーガードを始めるつもりだったのだ。

ここでのボディーガードなど、高校生からの翔を守るボディーガードなど、お茶の子さいさいだと思っていたのだ。

だが私のひそかな思いは見事に打ち砕かれてしまった。

戦争はもう既に始まっていたのである。

****

男子生徒は窓からうらやましそうに覗いているだけだった。

これならまだいい。

しかしだ。

「翔先輩!!!」

と、吐きそうなほど愛くるしい笑顔で話しかけてくる女子生徒もいれば、

「水浦先輩・・・。」

と、もはや魂を抜かれたような顔でこっそりささやく者もいれば、

「翔様。翔様。」

と、宗教のように連呼してくるものもいる。

その様なわけで私とあずさは、1人1人を翔から引っぺがさなければならなくなった。
< 71 / 77 >

この作品をシェア

pagetop