ガード
校長の説明を受けて実際に、プレゼンテーション講習の虚王室に入る事となった。

私はまたもや女子生徒たちが押し寄せてくるかと身構えたが、そこはやはり会社の跡継ぎが多いだけある。

皆真剣に発表者に聞き入り、私たちが入ってきたことにも気づかないようである。

翔も5年前まではあの椅子に座り、同じことをしていたと思うと中々に感慨深い。

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しかし授業が終わると翔のもとにドドドドドと地響きを立てる勢いで女子生徒達が押し寄せる状態となった。

これは予想通りだ。

授業中の時とは大違いもいい所で、「水浦翔ホリック系女子」とでもいうべきか。

しかし翔を囲む人だまりの中に、もう一つの人だまりができていた。

「名前、なんていうんですか?」

「仕事で来ているので。」

「私をボディーガードしてもらえますか?」

「今は彼をガードするために、この場にいます。」

まったくあずさに相手にされない女子達だったが、この言葉は女心を最高にくすぐる台詞だったらしく、結果的に彼は自分の心と裏腹にすっかり彼女たちのハートなるものを鷲掴みにしてしまったのである。
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