お前のこと、誰にも渡さないって決めた。
*
*

翌日のホームルーム後。


余計なことを考えていると気が散るから、早く家に帰りたくて、早々に教室を出る準備をする。



余計なこと……って、まぁ要するに、昨日利樹に言われたことで。



身に覚えのないことを、突然指摘されたって戸惑い以外の感情は浮かんでこない。





「あっれー?光希、もう帰んの?」



その “元凶” が話しかけてきたけれど、
軽く頷いてあとは無視。




大体、利樹なんかに言われなくたって自分のことくらい──────




モヤモヤする気持ちを抱えながら、
足早に教室を出ると。





「あ、待って、みっくん!!」



「は……おまえ、なんで」





教室のドアのそばに立っていた、ひまりが俺を呼び止めた。




大体、なんでこのタイミングなわけ。




おまえの顔見ると嫌でも利樹に言われたことを、思い出す。


ついでに浅野の顔まで浮かんで、気分は最悪。





「あの、みっくんに用があって……」





ひまりが自分の鞄から何かを探す。




「なに」




俺が素っ気なく問えば、ひまりはふわりと笑った。




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