午前0時、魔法が解けるまで。
「いらっしゃいませ。2名様でよろしいでしょうか?」
「はい。奥の席でお願いしたいのですが」
「かしこまりました」
黒いワイシャツに焦がしたチョコレートみたいな色のエプロンをまとった落ち着いた雰囲気の女性店員が穏やかな雰囲気で私達を奥の席に案内する。
正方形の木製のテーブル席の前まで来ると、店長さんは洗礼された動作で椅子を引き、「こちらへお掛けください」と誘導される。私はそれに従って座った。