午前0時、魔法が解けるまで。
「そんなに気負う場所ではないから大丈夫だよ」
優しい声と、肩に残るほのかな温もりでまるで魔法にかけられたように私の緊張は解けていった。
砂川さんが扉の取っ手に手をかけ、軽々とした動作で扉を開けて店内に入っていくのを見て私も慌てて後ろを着いていく。
私がきちんと店内に入ったのを確認してから、砂川さんは静かに扉を閉める。
砂川さんは一つ一つの動作が丁寧で上品。
アイドルとして英才教育のようなものをされてきたのか、それとも彼の育ちが良いのか。
きっとコマ送りで彼の言動を見ても恥ずかしい瞬間なんてないんだろうな。