午前0時、魔法が解けるまで。






あのあと、話を聞けば連絡を取れなかったのは事務所の人にスマートフォンや電話など他者と繋がるツールの全てを取り上げられていたからだったという。


薫くんは多くは語らなかったけど、「絶対にすぐ戻ってくるから待っていて欲しい」とそれだけを私と逢坂くんに伝えた。逢坂くんは納得いかなそうな顔をしつつも、お前の言うことならとうなずいていた。

とにもかくにも、部外者の私がいつまでも芸能事務所に居座るわけにもいかないので話もそこそこに、病院まで逢坂くんに送ってもらうことにした。


外に出れば、赤い夕日はもうすっかり顔を隠して夜へと変わっていた。





< 305 / 398 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop