楕円の恋。
『ほぇ〜やっぱ何回見ても大きいスタジアムだね』

圭子ちゃんが目をまん丸にしていう。

日曜日、私は圭子ちゃんとあかりちゃんと3人で試合会場に行った。

周りを見渡すとうちの学校の制服を着た生徒たちがぞろぞろとスタジアムへ入って行っていた。

『じゃあ私達も行きますか』

圭子ちゃんは私とあかりちゃんの背中をポンと押した。

私達は無言で頷き、スタジアムへ入って行った。

さすがプロのサッカーの試合もあるメインスタジアム。

芝の手入れも行き届いて、綺麗な緑のグラウンド。

それをぐるっと一周囲む多くの観客席。

私はあっけにとられた。

『すごい、すごいよね!こんなすごいところでラグビー部試合するんだよ』

私は両手を顔の前でグーにして興奮して言った。

『ほらほら、愛しのダーリンが試合出るからって興奮しないの』

圭子ちゃんが私の頭を撫でながら言う。

『違うもん!ダーリンじゃないもん!』

私はほっぺたを膨らませてた。

『はいはい、ごちそうさま。』

圭子ちゃんが笑って片手で私の両側のほっぺたを潰す。

『や、や、めちぇくだちゃい』

私は小鳥みたいに口をパクパクさせた。

『あははー。変な顔〜』

圭子ちゃんが笑う。

『ほらほら2人ともあそこが席空いてるよ』

あかりちゃんが助けてくれた。

私たちはこの前と同じような私達の学校サイドの中段付近に私を真ん中にして座った。

私達の周りには私達の学校の生徒はもちろん、他校のラグビー部であろう人達も座っていた。

『ほら、あの黒の10番お前と同じ1年だぞ。しっかりプレー見とけよ』

他校のラグビー部の生徒が話していた。

やっぱ影山君すごいんだなぁ。

私が感心していると、両校のスタメンが発表されてようとしていた。

電光掲示板には両校の選手の名前が映し出されていた。

うわー。プロのサッカーの試合と同じじゃん。

電光掲示板に10と書かれた横に

《影山 晴人》

と刻まれていた。

背番号1番からアナウンスが紹介していく。

そして、

背番号10番 影山晴人君。

アナウンスの声が会場全体に響き渡る。

大きく観客がわいた。

『晴人くーん!!頑張れ〜!』

あちこちから女性の黄色い声援が飛ぶ。

『涼ちゃんはしなくてよかったの?』

あかりちゃんがニコニコして聞いてくる。

私は、

『無理だよ〜』

と下を向きながら言った。

本当は誰よりも大きい声で叫びたかかったが、恥ずかしさの方が勝ちできなかった。

ラグビー部が円陣を組む。

観客席から大きな拍手がなった。

センターラインに両校の選手達が並び試合が始まろうとしていた。
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