そのキスで、忘れさせて
「ドラマなら、このまま朝になって、俺がベッドにいねぇ……っーことになるんだな」
遥希はそう言って、あたしの髪を指に絡ませる。
少し引っ張られた髪がくすぐったくて、身を縮める。
「でも、お前は俺に黙って解決させて、俺から離れていくから」
またその言葉。
あたしは何も言わず、遥希の胸に頬を付ける。
トクトクトク……
少し遅くなった遥希の鼓動を感じた。
そんなあたしを再び抱きしめ、ベッドサイドの引き出しを開ける遥希。
そして、おもむろにあたしに手を差し出した。