そのキスで、忘れさせて








あたしの心も身体も、全て遥希のもの。

遥希が触れる、遥希が笑うたび、あたしに遥希が刻まれていく……









遥希の腕に抱かれ、心地よい余韻に浸っていた。

顔を見合わせて笑う、この時間が永遠だったらいいのに。

やっぱり好きだ、遥希が大好きだ。





「なぁ、美咲……」




遥希が甘く切なげに言う。

その声は溶けきったあたしの心を、さらに甘く溶かしていく。




あたしは黙って遥希を見る。

甘い視線が絡まって、きゅんと胸が疼く。




「まだ、だ」




相変わらず甘ったるい遥希。

その言葉だけで、あたしの身体は再び熱を持つ。



だけど……




「まだ?……三回目だよ?」




ドキドキしながら言ったあたしに、



「四回でも五回でもお前を抱きたい」



遥希は言った。
< 288 / 384 >

この作品をシェア

pagetop