そのキスで、忘れさせて
「だけど俺は、もうそろそろ行かねぇと」
「……うん」
分かってる。
人気者の遥希は忙しいってこと。
時間を割いてまで、あたしといてくれるってこと。
だけど、やっぱり寂しいな。
遥希がいないと、部屋がやたら広く感じる。
「いってらっしゃい」
そう告げたあたしに、遥希は言う。
「来い」
「……え?」
「お前も来い。
これ以上、隠すわけにもいかねぇ」
遥希の言葉に固まった。
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