そのキスで、忘れさせて
「……美咲?」
遥希は優しくあたしを呼ぶ。
こんな時にやめて欲しい。
そんな声で呼ばれると、やっぱり遥希から離れられなくなる。
そして、遥希しかいないと実感する。
「やっと会えた」
遥希はそう言って、あたしをきつく優しく抱きしめる。
遥希の身体と香りに包まれ、安心するとともに胸がきゅんとときめくあたし。
こんな時にまで、あたしは遥希を求めてしまう。
見上げると綺麗な遥希の顔があったけど、やっぱり怪我が気になってしまって、あたしは顔を歪めた。