肉食御曹司に迫られて
正樹は、奈々をまじまじと見た。
(- 想像と違うな。)
そして、
「どうぞ、掛けて。」
と、応接セットのソファーを指して、自分もそこに座った。
奈々は、正樹が座った事を確認した後、
立ったまま、
「本日は、お忙しい中、お時間を作って頂き、ありがとうございます。水澤奈々と申します。」
と、ゆっくりと正樹の目を見て言うと、お辞儀をした。
「失礼いたします。」
そういうと、ソファーに浅く座った。

程なくして、お茶が運ばれてきた。

「水澤さん?だったよね。」
「はい。」
正樹は、ゆっくり本題に入った。
「こないだ、入江から話は聞いてもらったんだよね?そして、今日ここに来たということは、何が目的かな?」
奈々は、微笑み正樹の顔を見て、
「樋口社長にご挨拶をしたいと思いまして。」
その意外な答えに、正樹は内心驚いた。
「挨拶?」
「はい、きちんとお話をする事が、私の出来ることだと考えました。ですから、ご挨拶です。」
(- この娘。本当にただの娘か?私や、この会社を見ても物怖じするどころか、真っ向から向かってくる。そして、完璧な所作に立ち居振る舞い。)
お金を渡して終わりにするつもりだったが、正樹自身少し興味が湧いた。
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