肉食御曹司に迫られて
そこへ、秘書の入江が入ってきた。
「社長…そろそろお時間が。」
その言葉を聞き、
奈々はすっと立つと、頭を下げた。
「樋口グループを背負う、樋口社長の貴重なお時間を頂戴し、感謝いたします。今日はご挨拶に伺っただけなので、社長が反対されている事は、十分理解致しました。しかし、私も引き下がるつもりはありません。それだけを申し上げたかったので。」
奈々は、微笑みを浮かべると、
「失礼します。」
と、ドアに向かった。
「水澤さん、」
正樹に呼ばれた。
「君、歳はいくつ?」
奈々は、振り返ると、
「今年26歳になります。」
「そう。湊は、君がここに来ていることは知っているのか?」
奈々は、少し間をあけ、
「湊さんには、お伝えしてません。湊さんは、会社を守る立場の方です。このような事でお手を煩わす訳にはいきません。そして、私も、湊さんに樋口グループを敵にまわす様な事態を望んでいません。」
一息ついて、奈々は
「これは、私と、樋口社長の問題です。」
淡々と、答えた奈々に。
「わかった。君と私の問題だな。」
「はい。失礼いたします。」
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