肉食御曹司に迫られて
オートロックを開け、エレベーターで30階を押す。
そして、絢香は突き当りの部屋の鍵を開けた。
「どうぞ。っていうのも変だけど。」
「…お邪魔します。」
奈々は、恐る恐る部屋に入った。
絢香が照明をつけると、廊下の向こうに広いリビングは見えた。
モダンな、白と茶色を基調としたインテリア、高い天井、窓の外に見える夜景。
「素敵な部屋…。」
と奈々は、窓の外を見た。
絢香は、6人は座れるだろうソファーセットに座り、
「ねえ、すごいよね。」
と笑った。
奈々もソファーに座った。
「奈々ちゃん、何か飲む?たぶん、ビールとかなら冷蔵庫だと思うし、ワインもあると思うよ。」
「勝手にいいのかな…?」
「好きにして、って晃君が。まだまだ、帰ってこないし。」
そういうと、絢香はビールを持って戻ってきた。
「とりあえず、ビールでいい?」
「うん。」
奈々も、受け取った。
絢香は、慣れた手つきで、ナッツや、チーズなどをお皿に盛ると、
「ご飯の代わりにはならないけど、乾杯しよ。」
といたずらっぽく笑った。
< 164 / 191 >

この作品をシェア

pagetop