肉食御曹司に迫られて
観光ガイドをもらい、車の中で奈々はじっとガイドを見ていた。
「ねえ、ねえ、湊。食べ歩きしてみたい!ほら、この通りいっぱい食べ歩き出来るって。」
奈々は、初めて来る鎌倉と、素の自分を出せることが嬉しく、少しはしゃいでいた。

湊自身も、接待での堅苦しい食事ばかりに多少うんざりしていた。

「美味しい物ありそう?」
と、奈々のガイドを覗き込む。
「ここの、コロッケとか、肉まんとかどう?」
「ここの、シラスたこ焼き?もおいしそうじゃん。」
ふたりは、車の中ですごく距離が近づいていることにも気づいていなかった。

「じゃあ、行こうか」
と湊は車を出した。
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