ドメスティック・ラブ

 畳の上についた私の右手のすぐそばに、まっちゃんが左手をついた。
 八人がけの細長いテーブルの下の他の人からは見えない位置。今ちゃんをからかい、笑いながらまっちゃんの薬指と小指が私のそれに重なる。

「…………」

 人前でいちゃつくのは好きじゃない。こんなの誰かに見られたら死ぬ程恥ずかしい。それが頭では分かっているのに、逃げたり振りほどいたりする気にはならなかった。
 二人して指の先だけ絡めたまま、何食わぬ顔で喋って笑って、もう一方の手でグラスを口へ運ぶ。
 自分のものとは違う体温がほんの一点触れているだけで、妙に落ち着くのが不思議だった。

 ちなみにこの日、結局三次会で撃沈した私が次に気がついたのは自宅のベッドの中、既に外は明るい日曜の午前八時五十五分。
 目覚めは当然、まっちゃんよりも遅かった。















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