ドメスティック・ラブ

 疲れが溜まっているせいもあるのか、昨夜病院で処方してもらった薬を飲んでも朝の段階では熱は全く下がっていなかった。
 私も仕事を休もうかとも思ったけれど、さすがに何も出来ない子供な訳じゃないしそこまですると後でまっちゃんが気にしそうなので出勤してきたのだ。

 必要なものを買ってから最短コースで家に進路を取る。

「……ただいまー」

 鍵を開けて家に入っても中からの返事はない。
 手を洗いキッチンとリビングを確認してから寝室のドアをそっと開けると、まっちゃんは自分のベッドで朝と変わらず寝ていた。熱のせいか寝息がいつもより少し荒い。
 枕元のサイドテーブルに置いておいたイオン飲料だけが減っていた。ペットボトル二本の内、一本が空になってもう一本も半分程に減っている。それを帰りに買って来た新しくて冷たいものと交換しようとした時、指先が当たってフローリングの床に落ちたペットボトルがカラカラと音を立てた。家の中が静かなだけにその音がやけに響く。

「……ん……」

 音に反応してまっちゃんが身じろぎした。

「ち、あき……?」

 起こしてしまったけれど、この様子だと多分まっちゃんは朝からひたすら寝ていて水分以外何も取っていない。薬を飲むためにも何か胃に入れてもらった方がいいだろうし、目が覚めたのは好都合だった。

「おはよ。というかただいま。ずっと寝てた?」

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