ドメスティック・ラブ

「いやマジでまっちゃんとしまっちが結婚するとは思わなかったよ。昔からあれだけ二人共『ない』って否定してたじゃん。実際お前ら兄妹か親子みたいだったし」

「十二月に同期で日帰り温泉行ったけど、まるっきりいつも通りでそんな気配微塵もなかったですよー。超電撃婚!」

 そりゃあね、あの日の私は帰りにまっちゃんに結婚とか言われるまではこんな事になるなんて考えもしてなかったし。まっちゃんだって、家に着くまでは通常営業で皆といる時は普段と違う素振りなんか全くなかった。

「でも前は元カノがよく妬いてたよな、しまっちと仲良すぎて嫌だって」

 ああ、そう言えば昔そんな事をよく言われた気がする。
 まっちゃんの在学中からの片思いが実って社会人になってからしばらく付き合っていた一学年上の先輩。仲良いのは私に限らず同期の女子全員なのに、家の位置の関係でよく一緒に帰っていたせいか、取り分け私が警戒されてダメ出しされてたっけ。

「それはしまっちのルックスのせいじゃないの。中身は神経太いしガサツだけどいかにも女子っぽい見た目だし」

 ……神経太くてガサツ……。まあその通りだからいいけどさ……。

「その度に二人揃って『そんなんじゃないから』って言ってたのにね。どういう心境の変化よ?」

「……」

 私の向かい側に座ってるはずのまっちゃんが、その言葉に何て返したのかはあまり大きな声じゃなかったので聞き取れなかった。

「それにしても新婚だってのに嫁泥酔とか、ごめんなー。しっかし最後折角だから誓いのキスの再現させようと思ってたのに、しまちゃんがこれじゃ無理だなあ。先やらせとけば良かった」

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