交際0日のプロポーズ~純情男子の恋の傾向と対策
冬の嵐
翌週は物理の講義の前に中村先生の特別授業があった。



塾近くのファストフード店の2階で待ち合わせをして、最初に着いた俺が席を取って待っていると荻原がやって来た。


荻原が開口一番に言った

「リコちゃんさー」

という台詞に

(またか…)

と思ったのだが…



「お前が連絡しねぇから他の男と付き合っちゃったんだけど?」

「え…」

「折角連絡先教えたのに何やってんの?」



別に俺はリコちゃんに興味なかったしいいんだけど…

むしろ彼女が幸せで良かった、という気持ちしかない。



が、荻原の方は何となく苛立ったような様子に見えた。



しばらくして先生と俺、今泉さん、荻原、それと石野というヤツの5人が揃い、特別授業という名のお茶会が始まる。



いつものようにいろいろと四方山話をするうち、受験の話をする中で得意分野と不得意分野の話が出た時だ。



「酒井は力学全然ダメだなー。」

と先生が笑った。



「…すみません。」

「今泉に教えて貰ったらどうだ?今泉は力学は得意だから。」

「その代わり私は電気がダメですけど。」

今度は今泉さんがふふっと笑う。
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