交際0日のプロポーズ~純情男子の恋の傾向と対策
「酒井…」
「……」
「なんか…もうちょっと言い方とか…」
「……」
ピカルに応える義務はないな、と思い黙っていた。
けど、あの場に居させてしまったピカルには訊く権利があるのかな、とも思う。
それにピカルもまた苦しい片想いをしているのを知ってるから。
俺は言葉を選びながらなるべく淡々と話す。
「期待に応えられないかもしれないのに良い顔する方が残酷だと思わない?」
「?」
「ライン交換して、そしたら彼女、いつか俺と付き合えるかもって思うだろ?
期待させて待たせて、でも結局ただのキープで…。
その方が残酷じゃない?」
「……」
「ましてやあの子、大学決まったんだろ?
新しい生活の中で、俺なんかより彼女のこと愛してくれる人に出逢うかもしんない。
その方が全然良いよ。」