キミの瞳に
「いい加減春のこと離せよ。
お前言ってることとやってること矛盾しすぎだろ」
しゃべり方はいつもと同じだけど聖夜君もいつもより声のトーンが低い。
スラスラと朝木君に向かって気の強いことを言える聖夜君が本当に凄い…。
そんな聖夜君の言葉を聞いた朝木君はゆっくりと私を引き剥がす。
フッと見上げるとすぐ近くで朝木君と目が合う。
やっぱり私を見る朝木君の表情はさっきと変わらず悲しそうなそんな顔。
私の耳元に顔を近づけて…
「……ごめんね」
きっと聖夜君にも聞こえていないくらい小さな声でボソッと朝木君が呟いた。
その瞬間トンッと朝木君に体を押されて…
「………。」
朝木君は何も言わずに黙ってその場から立ち去った。