運命の人はいかがいたしますか?
 何日か後にも紙は出てきた。

 最初にわざわざ探してみつけるのはやめようと決めていた。
 たまたまみつけた喜びを感じようと決めたのだ。

 ある時は電球の買い置きの袋の中から出てきた。

「僕なら脚立出さないで替えれます。」

 挑戦的な内容に杏も負けじと対抗してみたりした。
 精一杯の背伸びをしても届かない。

「もう。だから僕がやるって言ったのに。」

 そういって杏の後ろから電球を奪い取って、わざわざ覆いかぶさるように取り替えるんだろうな。

「ほら替えれた。」って言いながら無駄に抱きしめたり…。

 杏はエルがいなくなっても、エルがその場にいるかのようにエルなら何をするかがすぐに思い浮かんだ。

 このままじゃただの妄想癖のおばあちゃんになっちゃうわね。

 でもあれ以来、代理で来たおじいちゃん天使は一度もアパートに来ないし、あの感じの悪い先輩天使がやってきて、早く運命の人を探せと急かされることもなかった。

 もちろん、いつかのレストランに行っても結菜に会うこともなかった。

それなのにエルの記憶も天使の記憶もまったく無くならなかった。
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