失礼男の攻略法


事務所に戻って最速で仕事を片付けて、いつもはほとんどしないお化粧直しまでして約束の30分後を迎えた。

ドキドキしながらラウンジに入ると、いつもお兄ちゃんと来る時に座る奥まった席に失礼男の姿を見つけた。

失礼男は難しい顔をしてタブレットとにらめっこをしているので、私が入ってきたことに気付いていないらしい。
顔なじみの黒服に

「マンハッタン、あそこにお願い」

声をかけて、失礼男が座る席を指さすと、ちょっとだけびっくりされてしまう。普段そんな対応をしないのに珍しいなと思いながら、失礼男に近づいていくと、ようやく目の前に立ったところで気付いてくれた。

「あ、意外に早かったね」

タブレットから視線をあげて、そういう失礼男は小さく微笑んでいて、その表情にキュンとなる。

「いえ、お忙し波木社長をお待たせするわけにはいかないので」

仕事モードでそう言うと、ふふっと笑われてしまった。

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