失礼男の攻略法

敢えて「たくさん」と言ってみると、ふふっと甘く笑みを浮かべたかと思うと

「気になる?」

首を少しだけかしげている。自信に満ち溢れている仕草や表情に、もはや白旗を挙げたくなってしまう。

こういうの慣れてないんだよーって。でも、この雰囲気にのまれちゃいけないことだけは、経験の少ない私でもわかる。

「ええ、所長がすごく気にされてましたよ」

精一杯なんでもない風を装ってみると

「僕は千秋ちゃんに聞いてるんだけどな」

おどけたような声が聞こえる。

「日本に戻って来られるつもりはないんですか?」

私が聞いて言いことか迷ったものの、今は大きく話を逸らしたい。

「いずれは戻るつもりだけど、向こうの仕事も面白くって。まだ先でもいいかなって思ってるだけだよ」

「所長もご存知なんですか?」

「言ってるんだけど、信用ないんだよね。だから無理矢理こっちで結婚させちゃおうと躍起になってるんだよ」

苦笑いしている直樹さんからは、さっきのダダ甘な雰囲気が弱まっていて、ほっとする。
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