大切なもの【完結】
「たぶんさ、たぶんだけど香はお前が好きだよな」

「うーん。たぶんな」


俺もそれは薄々感じてた。

香の他に対する姿と自分に対する姿が違うって。


「香のことは?」

「なんとも」

「だろうと思ってた」


翔が苦笑い。


「好きなやつなんていないから」


俺はまたこうして
嘘をつく
積み重ねる。


「香とのこと考えてみたらいいのに」

「いや、そーいうのはいい」


考えれるわけはなかった。
だって俺は
どうやっても彩香が好きなわけで。

でも目の前にいる
俺の親友とも言える存在。
こいつも彩香が好きなわけで。

言ったが勝ち。
早押しなんだ。

俺は早押しに負けたんだ。
だから黙っとく。

< 14 / 209 >

この作品をシェア

pagetop