大切なもの【完結】
「だから何を耐えるんだよ。付き合ってんだからやったっていいだろ」



傍にあった雑誌で頭をパコンっとたたかれる。



「プレゼントは?」


「え?」


「だからもらったんだろ?」


「あ、もらってない」



四宮の実家で働いてまで買いたかったプレゼント。
まだもらってないことを思い出す。



「お前さ、今日何しに行ったの?」


「え?」



いつになく悠貴が真面目な顔になる。



「彩香の計画、なにほとんど台無しにしてんの?」


「…っ」



彩香がずっと考えてくれてた今日の俺のための計画。
俺は自分が自制できないからって理由でその場に留まるのをやめた。



「そんなにうまく付き合えないなら、俺に彩香返してよ」


「…は?」



悠貴の言葉にまだ持っていた上着を落とす。



「だってさ、郁人が現れなかったら俺が彩香に告ってたよ?」


「なっ…だってお前中学の頃から普通に彼女…」



たしかに幼なじみのふたりは両想いでって考えてた。
でも、それは俺と彩香が付き合う前に考えてたことで。

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