大切なもの【完結】
「お前、香になんか言った」


昼休みこそっと翼に耳打ちされた。


「なんかって?」

「好きじゃないとかそーいうこと」

「あー好きな人いるとは言った」

「なるほどね」


翼が納得したという顔になる。


「なした?」

「いや、なんか元気なかったから」

「なんでそれで俺にくるんだよ」

「や、どう見てもお前が好きじゃん」


翼が苦笑い。


「みんなわかってんだな」

「お前は告白される前に牽制したってことか」

「うん。振るとか振られるとかより手っ取り早い。こっちはあいつの気持ち知らない体でいけるから気まずくもならないじゃん」


俺は昼ごはんをかっこみながら話す。


「お前のそーいうとこ俺はいいと思うけどな」


翼が俺の頭をなでる。

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