大切なもの【完結】
「...香。泣かないでよ」


あたしは香にハンカチを渡す。


「あたし、告白してないのに」

「...うん」

「告白する前に振られた」

「振られたわけじゃないじゃん。まだなにも言ってないじゃん」


あたしは泣いてる香の背中をさする。


あたしも泣いてしまいたかった。

聞いたことなかった。
郁人の好きな人なんて。
想像してなかった。
そりゃ誰かは好きだよね。

それに、香も郁人のことが好きなんだ。
薄々気づいてたけど。

郁人もだれかを思ってる。
香は郁人を思ってる。

やっぱりこの気持ちは
迷惑なものでしかないんだ。


「郁人の好きな人知らない?」

「なんであたしが?」

「同じ中学なんだって」


香の言葉にあたしの脳裏は白くなる。


< 24 / 209 >

この作品をシェア

pagetop