寄生虫
疑い
そして翌日。


あたしはいつも通りの遅い時間帯に登校して来ていた。


「よぉ、サナギ!」


そんな声を聞くと同時に、振り返る。


京介が眠そうな顔で欠伸をしながら歩いてくるのがわかった。


ホームルームが始まるまであと数分しか時間がない。


教室はすぐ目の前。


そんな状況で、あたしは京介の腕を掴んでいた。


「は?」


あたしが腕を掴んでことに驚いて京介は欠伸を途中で止めた。


「ちょっと、来て」


そう言い、京介の手を引いて強引に歩き出す。


「は、おい、サナギ?」


混乱する京介の声を聞きながら、あたしは教室から離れたのだった。
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