寄生虫
大病院
心地よい眠りについた翌日、あたしは天から地へと突き落とされた気分になっていた。


目が覚めて痛みを感じ、起き上がると以前と同じようにシーツが血まみれになっていたのだ。


昨晩はかゆみで目が覚める事もなかったのに、両腕にかきむしった跡がしっかりと残っている。


それはまるで自分が自分じゃないように気味が悪く、まるで体を誰かに操られているんじゃないかと感じるほどだった。


これほどかきむしった事に気が付かないなんて、どう考えてもおかしい。


血まみれのまま脱衣所へ急ぎ、タオルを濡らして血を拭いていく。


ほとんどの血は乾いていたけれど、所々の傷痕からはまだ小さな血の粒が溢れてきていた。


手の爪には乾いた血がこびりついていて、お湯で血を浮かすようにして洗った。


どうにか家族を驚かせない程度に処理をしたあたしは、リビングのドアを開けた。


「おはよう」


ソファで朝食後のお茶を飲んでいたお母さんが振り向いてそう言った。


「おはよう」


返事をするが、さすがに元気のある声は出なかった。


「どうしたの、それ」


一番に気が付いたのはバラだった。


今日は休日だからお母さんと同じようにお茶を飲んでいる。
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