寄生虫
「また、かいちゃって」


あたしはそう言い、苦笑いを浮かべる。


他に説明のしようがない。


「消毒しなきゃ」


お母さんが慌てて救急箱の蓋を開ける。


これももう、見慣れた光景になってきてしまった。


「またひどくかいたね。今日の当番院はどこだっけ」


バラがそう呟きながらスマホで病院を調べている。


「病院なんて、いいよ」


「何言ってんの。そのままほっとけるわけないでしょ」


あたしの手は何かに殴られたように腫れ上がり、熱を帯びている。


「冷やしておけば腫れは治るし……」


そう返事をしながら、消毒の痛みに顔をしかめた。


病院でアレルギー検査をしても結果はどれも陰性だった。


大きな病院へ行ってもその結果が覆る事はないだろうし、せっかくの休日を自分のせいで潰すことになるのも嫌だった。
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