寄生虫
しかしそうこうしている間にバラは当番院を見つけて電話をかけている。


この街では一番大きな総合病院だった。


ここまでしてもらって断るわけにもいかず、数十分後にはあたしは車の助手席に座っていたのだった。


病院に到着して呼ばれるまでの間ずっと両腕を冷やしていたので、随分と腫れは良くなってきたが、その分傷口が目立つようになっていた。


ミミズ腫れの部分はまだいい。


同じ個所を何度も引っ掻いて皮膚が破れてしまった所から、白い肉が見えていた。


そこからは何度タオルで拭いても簡単には止血することが出来ず、傷も簡単には消えないかもしれなかった。


診察室に呼ばれて中へ入ると、前回行った病院と同じような質問を繰り返された。


アレルギー反応はなかったと伝えたけれど、念のためにやり直すと言う事で血液検査をすることになった。


後は薬を貰っておしまい。


ほとんど何も変わらない診察内容にあたしは少しだけ肩を落とした。


これじゃきっと原因はわからないままだろう。


運転席ではお母さんが「こっちの病院の方が大きいから、血液検査で何かわかるかもしれないよ」と、あたしに気を使って言ってくれている。
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