寄生虫
自殺
モノクロの世界から解放されたのは、克哉の心拍が戻った時だった。


心電図に克哉本人の力で動き出した心臓のリズムが刻まれた瞬間、世界に色と音が戻ってきた。


「克哉……!」


真尋の声が聞こえる。


京介が目を覚ましたのか、みんな笑顔だ。


ホッと胸をなで下ろした瞬間、両腕にかゆみがあった。



耐えられないほどの強いかゆみ。


壁に掛けられている時計に目をやると、夜中の2時が過ぎていた。


あたしは部屋を出てトイレへ駆け込み、自分の腕をかいた。


いつも眠っている間にかきむしっている事を思い出す。


夜中にこんなに強いかゆみがでていたのだろうかと、疑問になる。


かいてもかいてもかゆみは消えない。


腕は赤く腫れて来て、所々に血が滲んでくる。


それでもかゆみは治まらない。


痛みなんて一つも感じなくて、ひたすらかゆいばかりだ。


「……っ!」


あまりのかゆみに、涙で視界が歪んだ。


ここまでかゆいのに、どうしてあたしは眠ったまま気が付かないんだろう?
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