寄生虫
「克哉は、大丈夫なんですか?」


真尋がそう聞いた時だった。


克哉の心拍数が突然変化した。


心拍数が上がったり下がったりを不安定に繰り返す。


「どけて!」


医師が真尋を押しのる。


克哉の生きている証を伝えている心電図が一本の線に変化した。


すぐに心臓マッサージが始まる。


うそ……でしょ?


あたしは知らない間に後ずさりをしていた。


真尋が叫び声を上げている。


克哉の両親が苦痛に顔をゆがめている。


京介が克哉の足元から何かを叫んでいる。


それらが、まるでモノクロの夢の中のように見えていた……。
< 150 / 195 >

この作品をシェア

pagetop