寄生虫
☆☆☆

自分の部屋に入ると、あたしはバラがたとんだ洗濯ものを床にばらまき、グチャグチャに踏みつけた。


いつでもバラはあたしの一歩前を行く。


姉だから。


そう言ってしまえば簡単かもしれなかった。


でも、それだけじゃ済まされないものがあたしの中には存在していた。


今朝お母さんはあたしに洗濯物を頼んできていた、それなのにあたしはすっかりその事を忘れて遊んでいたんだ。


京介と一緒にいられることが嬉しくて、お母さんが同窓会へ行くことだって忘れていた。


あたしは自分の洗濯物を見下ろして、肩で呼吸を繰り返した。


忘れていたあたしが悪い。


それがわかっているから、この怒りは行き場がなかった。


あたしはその場に座り込み、洗濯物に手を伸ばした。


グチャグチャになった服を丁寧に丁寧にたたんでいく。


どれだけ丁寧にたたんでも、バラがたたんだ時ほど綺麗にはならなくてあたしはグッと奥歯を噛みしめた。


こんな時にまであたしとバラは差が出ている。


それがとてもみじめに感じられたのだった。
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