寄生虫
鏡に映る2人は本当によく似ていて、あたしは目を丸くした。


「あたしがサナギに厳しいのは、後ろ向きな性格をしているからよ。サナギだって十分可愛いのに、その事に気づかずに『あたしなんてどうせ』なんて、マイナスな事ばかり言っているから」


「そんな……だって、あたし……」


いつもバラを羨ましいと思っていた。


頭がよくて美人でなんでもできるみんなの人気者。


そんなバラが、妬ましかった。


「ちゃんと前を向いていれば、サナギだって蝶になれる」


「そう……なのかな?」


「そうだよ。蝶になって、バラの蜜を吸って、2人で逞しく生きて行く事ができる」


バラは蝶に蜜をやり、蝶バラの花粉を運ぶ。


そんな共存生活を思い浮かべる。


お互いに、お互いはなくてはならない存在だ。


今、それがなんとなくわかった気がする。


あたしたちは2つで1つ。


鏡の中のそくりなあたしたちを見ていると、そう感じられた。
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