寄生虫
そのかわり、性格上の可愛さや隙が一切なくなっているのだ。


それでもバラはその外見の美しさから異性を引き寄せる事ができていた。


あたしは脱衣所へ入り、服を脱いだ。


貧相な体を鏡に映してため息をつく。


少しだけ成長した胸はまだまだ青く、大人の魅力とはかけ離れたものだった。


バラに比べれば半分ほどの大きさしかない目。


ボテッとした唇に低い鼻。


どれをとってもバラに劣っている。


それに加えて、あたしの性格は隙だらけと言ってもいい。


隙のある女は守ってあげたくなると聞くけれど、あたしの場合はめんどくさいだけだった。


湯船につかるとかきむしった右腕がしみて、お湯につける事はできなかった。


ヒリヒリとした焼けるような痛みに顔をしかめる。


止まっていた血が少しだけ滲んで出て来た。


しかし、痛みの奥底にまだかゆみがある事にあたしは気が付いていた。


この痛みが消えれば、きっとまたかきむしってしまうだろう。


悪循環だ。


あたしはお風呂の天井を見上げたのだった。
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