干物ハニーと冷酷ダーリン
当たり前のような顔ってどんな顔だよ。
もう少し、表現力を身に付けろ。
仮にも編集者だろ。
に、しても。
今回は黒崎がアホでよかった。
あり得ない光景を目にしたから、夢だと思ってくれたわけだ。
あり得ない、、、ねぇ。
俺も川本が布団に入ってきた事に、気付かないほど間抜けではない。
川本が酔ってるからとか、単にまた動かすのが面倒だったからとか言い訳を考えながらもそれを受け入れたのは紛れもなく俺自身だ。
腕に、頭が乗っかってきたのだった引き抜こうと思えばできたはずなのにそうしなかった。
何故だ?
と聞かれたら、簡単に説明はつく。
俺もだれかれ構わず、そういう事をするほどまだ落ちぶれていないし、部下だからと言ってパーソナルスペースに入れるわけでもない。
少なからず、俺は川本を異性として意識しているからだ。
いつから?とか、どのくらい?とかの問いに答えるのは難しいが、結論は変わらない。
しかし、今すぐどうこうする気はない。
俺は36であいつは26。
10も離れている上に、あいつは部下でもある。
幸い、恋愛云々を表に出にくいらしい俺がこんな感情を持っていることは周りに知られていないはずだ。
この黒崎にすらだ。
今はこれでいい。このままでいい。
俺はそう思っている。