干物ハニーと冷酷ダーリン

【余談】


『なぁ水城。俺すげぇリアルな夢見ちまったんだよ』



解散となった後、俺と黒崎だけが編集部に戻って仕事をしていた。


別にあのまま帰宅しても良かったのだが、帰った所でやることもないので、こうして戻ってきたら何故か黒崎もついてきた。


珍しく真面目に副編集長らしく仕事をするのかと思えば、案の定これだ。




『夢の中でも俺、寝てたんだよ。それで目が覚めたら水城と川本が一緒の布団で寝てんだよ。しかも、今日行った旅館でさぁ』


『………………』


俺は、パソコンを立ち上げてつつ資料に目を通す。



『それも、水城が川本に腕枕してんの。川本なんて提灯あんこうみたいな顔で寝てたけど水城に寄り添ってる所が可愛くてさぁー』



『………………』


提灯あんこう、、、、どんなだったか?

手元は自然とキーボードに向かい、提灯あんこうを検索していた。


…………似てるな。




『思わず、お似合いのアベックじゃんとか俺思っちゃったよ』



……アベック。久しぶりに聞いた。

やっぱり黒崎はオッサンである。



『水城もさ、さも当たり前のような感じの顔で寝てるもんだから、あれ?この二人は密かに付き合ってんだっけ?って錯覚したわけよ!』



黒崎が夢だと思っている事は、そのまま現実なわけで、川本が目覚める前にこいつは1度目が覚めたのだ。




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