干物ハニーと冷酷ダーリン


いざ、戦場に。

はやりここに立つと、一度は足がすくむ。

印刷所が見えてきた時から、胃がキリキリと騒ぎだす。

たかが一時間、されど一時間。


大丈夫だ。あの頃は3日遅れても何とかなったんだ。

いや、あの時は、水城さんも一緒に行ってくれたんだった。
あれは、水城さんがさすがと言うべきか。
それは、素晴らしい論破を披露したものだ。





「……お疲れ様です。ダンテ出版川本です」



『やっとですか、川本さん。あなたという方はこう何度も遅れて持って来られても困るんですよ!』



「はい…。本当に申し訳ありません」



『こっちもボランティアでやってるわけじゃないんでね、時間内に持ってきてもらわないと、パートの人も帰っちゃってこっちはしなくてもいい残業ですよ』



「す、すみません。ご迷惑をおかけしてしまって…」




最悪だ。
よりによって責任者につかまった。
このオッサン、絶対あたしでストレスを発散してるに違いない。




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