女嫌いと男性恐怖症

 晶はお風呂から出ると、遥とご飯の支度を交代した。

「今日は昨日作ると言って、作れなかった詫びだ。ハルが好きなものを作ろう。何がいい? 和食はあまり作らないから、洋食で頼む」

 悩んでいる遥を待つ晶は、キッチンでサラダなどのサイドメニューを作っていた。
 それで、メインを遥に選ばせようと思っていた。

 悩んでいた遥が、やっと口を開いた。

「アキの、私服」

「え? なんだって?」

「アキの私服を、買いに行きましょう」

 俺は、晩飯の話をしていたはずだが。

 こいつに会話のキャッチボールは、無理なんだろうか。

「服を買いに行くのは今度だ。直樹とマスターは平気かもしれないが、警官には怯えていただろ? まだ外出は早い」

「でも」

 遥は晶がジャケットを着ていないとはいえ、ワイシャツで料理を作る姿にハラハラしていた。
 エプロンをするわけでもなく、ただ腕まくりするだけ。
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