女嫌いと男性恐怖症

 追いかけようとする晶に、青年が続きを吐き出した。

「あの時は何もなかったんだ!何も、できなかった」

「は?」

 想像していたのとはかけ離れた内容に、追いかけようとしていた足を止めて言葉を失う。

「じゃどうしてハルは、あぁなっちまってんだよ!」

 こいつのせいじゃなかったら、なんだっていうんだ。

「好きだったんだ! だからそういうことをしようとはした。そしたらそうなる前に、はるちゃんの呼吸がおかしくなって。それで体にブツブツもできて」

「何もしてないわけないだろ!」

「無理矢理だったかもしれないけど、抱きしめて首にキスしただけだよ!」

 こいつ!

 クソッ!
 こんな奴のことより、ハルを探さないと。

 踵を返して立ち去ろうとする晶に、青年がまだ口を開く。

「僕、結婚するんです。だからその前に、はるちゃんに会って謝りたかったんだ。ごめんって伝えてください」

 頭を下げると青年は、晶とは反対の方へ歩いて行った。
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