お帰り!フランス人の王子様


「デザートをお持ちしました」

それを聞くと、突然目を輝かせる王子。

「おわー!デザートー!!何か?!」

仲居さんが手にした、
デザートの器を覗き込む。

「おみかんのシャーベットです」

「おみかん?みかんのことか?」

「そうですよー!
あら、日本語、お上手ですね」

「いやー、まだまだですよな。
おお!シャーベット!」

幻覚だろうか、王子の口からよだれが出てるのが見えるぞ!

しかし、このシャーベットのおかげで
さっきの妙な空気が
吹き飛んでいった。

ありがとう、仲居さん、みかんシャーベット!
ナイスタイミング!


「ふんっ!!……かたい」

必死にシャーベットに
スプーンを突き刺そうとしている王子を見て
私は吹き出しそうになった。

きれいな顔して、
スプーンを突き刺そうと、
鼻の穴を膨らませている!


「…も、もう少ししたら
いい感じに溶けてくると思います」

仲居さんも笑いを必死に抑えてるではないか!

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