ラブリー
とりあえず、小宮課長がこの場にいなくてよかったと心の底から思った。

もし彼がここにいたら、わたしはどうすることもできなかっただろう。

ヘタしたら、告白の返事を聞かされるかも知れない。

――君が好きだ

昨日の告白のセリフが頭の中で再生された。

いかんいかん、仕事仕事。

そのセリフを振り払うように頭を横に振っていたら、
「どうした?」

佐和子が首を傾げてきた。

「えっ…ううん、何でもない」

わたしは首を横に振って答えた。

「何かあったら言えよ」

そう言った佐和子に、
「うん、ありがとう」

わたしは返事をすると、パソコンの画面に視線を向けた。

今は集中して仕事をすることが先だ。

わたしは自分に言い聞かせると、仕事を始めた。
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